2020年１２月５日（酒折）～甲府柳町～韮崎まで歩きました。

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【酒折宮】		【甲斐善光寺】		【天尊躰寺】
この日の旅は酒折駅からスタートしましたが、駅の北に酒折宮があります。ここは日本武尊が東征の帰途、この地の翁に与えた「火打袋」をご神体とし、日本武尊を守護神として祀っている神社です。境内に本居宣長撰文、平田篤胤書の酒折宮寿詞碑などがあり幕末の尊王攘夷思想に理論的武装を与えました。（RO）		酒折宮の北西方向に甲斐善光寺があります。ここは武田信玄が上杉謙信との川中島の合戦で信濃善光寺が焼失することを恐れて1560年本尊の「阿弥陀三尊像」を移したところです。本尊は武田氏の滅亡後1598年信濃善光寺へ帰座しました。（RO）		旧甲州街道（現国道411号線）に戻り、西へ進むと桝形があり、南進するようになります。そこに天尊躰寺があります。ここは江戸時代の金山奉行大久保長安や江戸時代前期の俳人山口素堂などの墓所となっています。（RO）

【新聞発祥の地碑】		【甲府柳町宿】		【身延追分道標】
桝形に曲がった道を西進するとNTT甲府支店西交差点の手前に新聞発祥の地碑があります。これは明治五年創刊の峡中新聞（現山梨日日新聞）発祥地で、創刊百周年記念で建てられた碑です。		旧街道は桝形に４回折れ曲がり、甲府駅に繋がる大きな通りに出ますが、この辺りが甲府柳町宿の中心地です。甲府は秀吉の代に甲府城が築かれ城下町として発展しましたが、宿場機能は柳町に集中していました。		旧街道は大きな交差点の相生歩道橋から西へ進みますが、丸の内郵便局東交差点に身延道追分道標があります。この道標は昭和50年に泉町土地区画整理事業の完成記念として復元されたものです。

【上石田のサイカチの木】		【竜王新町下宿丸石道祖神】		【称念寺くり抜き石枠井戸】
旧街道（国道52号線通称美術館通り）は荒川、貢川を越えて西へ進みます。上石田地区に入ると上石田のサイカチの木があります。推定樹齢300年で甲府市の天然記念物です。（RO）		街道は山梨県立文学館や県立美術館の前を通り、竜王駅前の竜王新町交差点から北へ進みます。少し進むと道路わきに丸石道祖神があります。この辺りは竜王新町下宿村の寄合場があった所です。（RO）		丸石道祖神の少し先に称念寺があります。境内にある井戸は一枚岩をくり抜いた石枠の井戸があり、往来する旅人が休憩した所から「お休み井戸」とも呼ばれました。

【赤坂供養塔】		【泣石】		【旧庄屋宅】
旧街道はJR中央本線を越えて暫く進むと坂道になります。その途中に赤坂供養塔があります。この坂は赤土の道で雨や雪でぬかるむと行き倒れの旅人が多かったため、無縁者供養のため「南無阿弥陀仏」名号碑が建てられました。		赤坂を越えて坂を下っていくと、再びJR中央本線を越えるガードがあります。その先を塩崎駅方面へ進むと泣き石があります。1582年武田勝頼が落ち延びる際新府韮崎城に火を放ち、岩殿城へ向かう途中夫人がここで振り返り、燃える城を見て涙を流したと言われる所です。		塩崎駅を過ぎると豪壮な建物があります。旧庄屋宅で、現在でも立派な門や倉などが残されています。（RO）

【舟形神社】		【二十三夜塔】		【姫宮神社と船山河岸の跡碑】
双葉西小学校の少し先に舟形神社があります。ここの鳥居は明神鳥居と呼ばれる形式で、1397年建立の山梨県指定有形文化財です。（RO）		田畑の交差点から旧街道は北へ進みます。中央本線の線路に近づいたところに二十三夜塔が二基建ち並んでいます。内一基は天保七年（1836年）の建立です。		塩川を越えて韮崎駅方面へ進み、下宿交差点を南下すると姫宮神社があります。その境内に船山河岸の跡碑があります。ここは1835年にできた河岸で、富士川船運の終点として賑わっていました。（RO）

【馬つなぎ石】		【韮崎宿本陣跡碑】		【一橋家陣屋跡】
旧街道（県道6号線）に戻り、韮崎駅周辺の旧宿場を進んでいくと馬つなぎ石が何カ所か残されています。馬の手綱を石の穴に通してつないだものです。		千野眼科医院の前に韮崎宿本陣跡の碑があります。韮崎宿は信州道、身延道、船山河岸を控えた交通の要衝として賑わったところです。甲州道中を通行する参勤の大名は高島藩、高遠藩、飯田藩に限られていましたが、韮崎宿に泊まることは少なかったようです。		本陣跡の北側に一橋家陣屋跡があり、現在は公園になっています。徳川吉宗の四男吉尹を祖とする一橋家は甲斐国内に三万石の領地を得て、1753年～94年までここに代官所を置きました。

【清水屋旅館】		【霊岸寺】		【韮崎駅】
本陣跡の向かい側に清水屋旅館があります。1845年創業の旅籠で、現在も旅館（旅人御宿）を営んでいます。		本町交差点から駅方面へ向かう道は信州佐久郡岩村田へ続く佐久往還です。その先の市民会館入口交差点西側に霊岸寺があります。弘法大師が七里岩に築いた霊場窟観音を守る寺として室町時代に建てられました。		12月5日で日が落ちるのも早く、16:30には暗くなってきたので、今回の旅はここで終わり、韮崎駅から帰路に着きました。

【（酒折）～韮崎までの地図】

【道中日記】

この日は酒折駅から出発して、酒折宮を見学した後、甲斐善光寺も見て甲府柳町宿へ向かいました。東海道や中山道でも同じですが、大きな都市になるほど宿場の遺跡は残されていません。開発が進み、昔の痕跡や面影がないのは仕方ないとしても、かつての歴史を探る解説板や案内資料などもないのは残念です。探せばどこかに在るのかも知れませんが、甲府柳町宿の旧街道を歩いているところには何も見当たりませんでした。 　せめてと思い、甲府の市街地の少し先の貢川にある「信州」という郷土料理店で「ほうとう」を食べました。街道歩きの楽しみの一つに土地の名物を食べることがあります。全てとはいきませんが所々で食べた名物は記念になり、思い出の一コマになります。 　韮崎宿に着いたのは夕方になっていましたが、何カ所か見学して韮崎駅から帰路に着きました。韮崎の中心地は都会化していますが、歴史的な面影がいくつか残っていました。歴史的なものは全てを残すことはできないと思いますが、残せるものを生かした町づくりを考えてもらいたいと思いました。